2025/08/13

【コラム】高校で起業、そして台湾大学へ進学:ニイナ



私は昔から、じっと机に向かう勉強が苦手でした。「なぜ化学や物理を学ばなければいけないのか?」「どうしてもっと直接“お金”や“社会の仕組み”について学べないのか?」そんな疑問を抱えたまま、もどかしさを感じていました。



高校進学後、その想いを行動に移そうと、ビジネスを立ち上げました。市場に出せない農作物を加工し販売、利益を募金に回す取り組みです。同時に多くの本を読み、『起業の失敗大全』は特に印象に残りました。



けれど、知識だけでは前に進めませんでした。行動しても手応えがなく、心が追いつかない。そんな私を動かしたのは、人との出会いでした。何気ない会話や経験談が、ある日突然、点と点をつなぐように腑に落ちる。そうした“気づき”が、私にとって一番の学びでした。



私は、人と対話しながら学び、前に進むタイプなのだと気づきました。もっと多くの人と出会い、もっと広い世界を見たい。そのためには、言語を学び、世界の人と向き合う必要があると感じたのです。



そうしてたどり着いたのが台湾大学でした。英語の授業、実践的に中国語を学べる環境、優秀で多様な学生たち。高校時代の経験ともつながる農業経済学部を選びました。



実際の留学生活は簡単ではありませんでした。中国語や英語での授業、異なる価値観との葛藤。課題をこなすだけで精一杯の日々。苦しいと感じることは多い。



でも今、私はこの挑戦を一秒たりとも後悔していません。むしろこれは「人生の修行」だったと思っています。修行とは、自分の根性との闘いです。その先にあるのは、ひと皮むけたもっと輝く自分。



台湾の学生たちはとてもオープンで、言葉が完璧でなくても「伝えたい」という気持ちを積極的に受け止めてくれます。教授たちも真剣に向き合えば全力で応えてくれる。語学力、視野、精神的な強さなど、目に見えない部分での変化を日々感じ、少しずつ自分を信じられるようになりました。今では、自分で言うのも何ですが、自信に満ちています。



台湾に来たからこそ出会えた人たちがいます。あのとき勇気を出さなければ、今の私はいません。だから私は、心からこう言えます。台湾に来て、本当によかった。あのときの私、ありがとう。



ニイナ